【漫画】これが少年(愛)漫画の王道だ!「主将!!地院家若美」の思い出


主将!! 地院家若美(11) (週刊少年マガジンコミックス)

「主将!!地院家若美」という漫画をご存知だろうか?

はじめに言っておくと、

この作品はまごうことなき21世紀を代表する傑作である。

大内裏高校柔道部主将・地院家若美は武術の達人にして男を愛する男! ある日、電車のなかで若美は痴漢の濡れ衣を着せられた若鳥を救う。強くなりたいと願う若鳥は若美の誘いにのり柔道部に入部するが、待っていたのは意味不明の練習と若美からのセクハラ! 果たして強くなれるのかと心配する若鳥だったが‥‥!?

主将!!地院家若美(1)

マロ眉の耽美な容姿で柔道部主将で武道の達人である男色家…

それが地院家若美である。

数年前に完結した当作品ですが、最近読み返して感想を書きたくなったので、

今回はこの漫画の魅力をつらつら書いていきます。以下、ネタバレ注意

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地院家若美と2人の弟子

すべてが常識外の彼とそれに振り回されながらも

強く、美しく成長してゆく少年少女の物語。

実際に読んだらドン引きする人多いと思うけど。

さて、この「地院家若美」というけったいな名前。

ちいんけわかみ

逆から読むと

みかわ…

といった具合に、大半の登場人物の名は有名人をもじったものです。

ただ、作者流のジョークで特に意味はないかと思います。

地院家 若美(ちいんけ わかみ)

主人公。地院家流合気柔術という武術の伝承者。

男を愛する最強の男。人間離れした思考と体術を駆使して美少年を手篭めにしようとしている。無茶苦茶な行動と裏腹に武道家としてスジの通った説法をすることが多い。

(©『主将!!地院家若美』やきうどん)

主人公は言わずもがな地院家若美ですが、少年漫画とは成長を描くもの。

超人的な若美はその対象ではなく、2人の弟子がその役割を担います。

若鳥 飛翔(わかとり ひしょう)

女系家族で育ったために気が弱かったが、若美との出会いによって柔道とセクハラを通じて心身ともに強くなってゆく。美少年。名前の元ネタは多分無いが、若美にとっての若いツバメ(愛人)的な意味だと思われる。

(©『主将!!地院家若美』やきうどん)

桃戸 美柑(ももと みかん)

巨乳がコンプレックスで痴漢被害に苦しんでいたが、同じく若美とと出会いで彼に惚れ、柔道部に入部して驚くべき才能を開花させてゆく。名前の元ネタはそのまんま桃と蜜柑。本人の好物らしい。

(©『主将!!地院家若美』やきうどん)

若鳥くんは若美の愛すべき人、愛人として災厄に見舞われながらもすくすくとタフガイに成長していきます。普通に女体に関心があり、美柑ちゃんが好きなはずなのに、頼れる先輩である副将の雨宮思慕以上の念を感じているような描写があり、男色の素養はある模様。

一方で美柑ちゃんは若美への恋愛感情から柔道家になりますが、彼女のポテンシャルは凄まじく、若美が自分以上の逸材であると認めるほどの天才でした。もちろんそれ以上に素直でひたむきに努力する人物だからこそ、その才能が開花したのでしょう。女嫌いの若美が表向きには邪険にしながらも弟子として可愛がっているのはそういった部分が要因なのでしょう。

少年(愛)漫画というジャンル

若鳥に特別入れ込んではいるが、若美は無類の美少年好きであり、作中のあらゆる美少年に浮気している。やってることは犯罪行為スレスレ…いや大抵アウトだ

ただ、満月の夜になると性欲が7倍になったり、若美の使徒と呼ばれる男色家仲間たちといったギャグ要素が漫画として(多分…)あまり不快にならないように感じる。

少なくとも最後までこの漫画を読んだ人間なら若美の迷いのない生き様がとてもカッコよくみえるはずだ。変態な時はとことん変態。カッコ良い時はとことんカッコ良い。

真に個性のある主人公とは若美のことなのかもしれない。

(©『主将!!地院家若美』やきうどん)

(©『主将!!地院家若美』やきうどん)

もちろん嫌いな人は徹底的に嫌いだと思う。

少年漫画より少年漫画らしいクライマックス

(©『主将!!地院家若美』やきうどん)

物語終盤の流れが素晴らしい。

地院家と天院家の因縁、天地合による決着。

最終巻はほぼシリアスに進みますが、ギャグ漫画なのに終盤に唐突にシリアスになってなんだよ~という感じはありません。天地合や若美の死といった伏線は割りと序盤から匂わせていたので。

老醜、若鳥、雨宮、白人、螺木奈そして美柑

皆が若美を救うために行動を起こしていました。

突然柔道部を去っていく若美に対して計らずも自身が強くなったことを見せ、若美にその成長を認められる若鳥。

若美が死地に向かうことを直感的に理解し、なんとか助けようと立ちはだかった雨宮。

(©『主将!!地院家若美』やきうどん)

その雨宮の気持ちを汲み、自身が身代わりになろうとした白人。

いがみ合ってきた兄の本当の気持ちを知って美柑と共に天地合を止めに赴く螺木奈。

自身の命を捨て、若美を生かそうとする老醜。

(©『主将!!地院家若美』やきうどん)

己の信じるままに男を愛してきた若美。

その自分の中に愛弟子である美柑を愛する気持ちに気づかされ、

皮肉にもそれが究極の奥義を会得するトリガーとなったという運びは素晴らしいです。

「女を愛してしまった屈辱」

ここまでの若美の生き様を見てきた読者にとってはこみ上げるものがありました。

(©『主将!!地院家若美』やきうどん)

最近はなんだか読者の解釈にまかせて妙にぼかしたり、奇をてらい過ぎて消化不良な結末の作品が多い気がします。そんな中で、この作品は少年漫画として邪道でありながらも、他の少年漫画より王道の魅力を持った作品だと思います。

この作品が打ち切りである、と感じる方もいると思いますが、

私はそうは思いません。作者のやきうどん先生があとがきで「規制の厳しい時代にここまで連載できた!」とおっしゃっていたので若美の着地点はきっとこれで良かったのです。

ちなみに私が一番好きなキャラクターはセリアさんです。

作者のお二人がセイバーと凛のぬいぐるみを可愛がっているようなので、

多分セリアさんのビジュアルの元ネタはセイバーなのかな〜と思ったり。

(©『主将!!地院家若美』やきうどん)

本棚に残してまたそのうち読みたいと思える一作です。

絶版になっていましたが、電子版も出たようなので、いかがでしょうか。


主将!! 地院家若美(1) (週刊少年マガジンコミックス)

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